【民泊】宿泊者名簿の作成方法|代表者のみは違法!全員分が必要【テンプレート付】

住宅宿泊事業、通称「民泊」における宿泊者名簿の運用は、住宅宿泊事業法により厳密なルールが定められており、適切な管理が必須です。住宅宿泊事業法では「代表者のみの記載」は禁止されており、全宿泊者の個別記載が必須です。この記事では、法令に基づいた正しい宿泊者名簿の作成方法と管理のポイントを解説します。

宿泊者名簿とは?基本知識と法的義務

宿泊者名簿は住宅宿泊事業法第8条により作成が義務付けられている重要な法的書類です。感染症対策やテロ防止などの公衆衛生・安全確保を目的とし、単なる記録ではなく法執行機関への情報提供手段としても機能します。

  • 宿泊者名簿の真の役割
  • 住宅宿泊事業法と旅館業法では記載事項が異なる
  • すべての民泊施設で作成・保存が義務

それぞれ順番に解説します。

宿泊者名簿の真の役割

宿泊者名簿とは、簡単に言うと「誰が泊まったかを記録する帳簿」のことです。ですが、実はただの記録ではなく大切な役割があります。

住宅宿泊管理業者であるゆめゆめトラベルは、コロナウイルスが広まった時期や東京オリンピックの際に、全国各地の保健所から「宿泊者名簿取得の強化」の要請を頻繁に受けました。その理由は、名簿は感染症の感染経路の特定や、テロ等の不法行為の未然防止に必要な重要なツールだからです。

そのため、「職業」の記入は、悪事をはたらきそうな人物の判別の一助となります。具体的な指示はないものの、この情報は警察官が事件後に名簿を確認する際に役立つとされています。

そもそもテロなどする人がちゃんと正しい名簿情報を出すのか分かりませんが、お役所的にはその悪事をはたらきそうな人の判別として「職業」を必ずしっかり聞けと言われます。じゃあ実際どんな職業なら注意なのかという情報もないままで、職業を聞けというのもいかがなものかと思いますが、それがお役所らしいところです。(何らか事件が起きた後に、警察官からその職務上宿泊者名簿の閲覧請求があった場合に見せて欲しいとのことらしいです)

住宅宿泊事業法と旅館業法では記載事項が異なる

宿泊者名簿については、住宅宿泊事業法と旅館業法とで異なります。住宅宿泊事業法では全宿泊者の個別記載が義務付けられているのに対し、旅館業法では一定条件下で代表者記載が認められるという重要な違いがあります。

また、記載事項も異なり、住宅宿泊事業法では「職業」が必須ですが、旅館業法では2023年改正により「職業」が「連絡先」に変更されています。

>>【参考】厚生労働省(旅館業法改正)

住宅宿泊事業法の方が厳格な本人確認と記録保存を要求しており、違反時の罰則も最大6か月の懲役または100万円以下の罰金と重く設定されています。

>>【参考】minpaku(民泊制度ポータルサイト)

すべての民泊施設で作成・保存が義務

住宅宿泊事業法に基づく届出を行った全ての民泊施設において、宿泊者名簿の作成・保存が義務付けられています。これには一戸建て住宅、マンションの一室、シェアハウスなど、住宅を活用したあらゆる形態が含まれます。

年間提供日数が180日以内という制限があっても、1日でも営業する以上は宿泊者名簿が必要です。「うちは小さな民泊だから大丈夫」とか「家族経営だから」というのは全く関係ありません。

住宅宿泊管理業者に管理をお願いしている場合でも、最終的な法的責任は住宅宿泊事業者にあるので、「管理会社がやってくれるから安心」ではなく、きちんと自分でも確認しておくことが大切です。

宿泊者名簿の必要記載事項

宿泊者名簿には法定の記載事項があります。全宿泊者について氏名、住所、職業、宿泊日の記載が必須で、日本国籍以外の宿泊者については追加で国籍と旅券番号、そしてパスポートの写しが必要です。

  • 基本記載事項(氏名・住所・職業・宿泊日)
  • 外国人宿泊者の追加記載事項
  • パスポートは写しが必要

それぞれ順番に解説します。

基本記載事項(氏名・住所・職業・宿泊日)

住宅宿泊事業法により全宿泊者について記載が必須となる基本事項は以下の通りです。

  • 氏名(フルネーム)
  • 住所(現住所)
  • 職業(具体的な職種)
  • 宿泊日(チェックイン・チェックアウト日)

氏名は愛称やニックネームではなく正式名称で、住所は番地まで正確に記録してください。職業は「会社員」「自営業」「学生」など、できるだけ具体的に書いてもらいます。

宿泊日は必ず記載が必要で、これがないと定期報告でも困ることになります。旅館業法では2023年改正で連絡先に変更されましたが、住宅宿泊事業法では依然として職業記載が義務付けられています。

日本国籍以外の追加記載事項

日本国籍以外の外国人宿泊者については、基本記載事項に加えて国籍と旅券番号の記載が義務付けられています。国籍はパスポートに書かれている通りに正確に、旅券番号はアルファベットと数字を含む完全な番号を写してください。

「この情報って本当に必要なの?」と思われるかもしれませんが、何か事件が起きた時に警察が調べるために使われることがあるのです。在日外国人で日本に住所がある方は基本記載事項だけでOKですが、パスポートを持参されている場合は念のため国籍も記録しておくと安心です。

パスポートは写しが必要

日本国籍以外の宿泊者の場合、パスポートのコピー(紙媒体)または画像(デジタル媒体)の取得が必要です。外国籍の宿泊者については、パスポートで本人確認を行い、そのコピーまたは画像の取得が必要です。また、これらの情報も3年間保存する必要があります。

コピーを取得する際は、身分証明ページ(写真・氏名・生年月日・国籍・旅券番号が記載されたページ)を明瞭に複写し、文字が判読できることを確認してください。デジタル撮影の場合は、十分な解像度で保存し、必要時に印刷可能な状態にしておく必要があります。

ゆめゆめトラベルとしては事前にパスポートも含めて宿泊者情報をもらっておくことで、宿泊当日になりすましなども避けることができるため大変おすすめだと考えています。

なお、日本国籍のゲストについては運転免許証などで本人確認を行うだけで、免許証のコピーは不要です。

【注意】宿泊者名簿は代表者のみではなく全員分必要

民泊運営者が宿泊者名簿においてよくある間違いとして、宿泊者名簿は代表者のみではなく全員分が必要ということが挙げられます。

ホテルや旅館では代表者だけの記入が許可されることが多いため、住宅宿泊事業法で運営する民泊でも同様だと思われがちですが、これは誤りです。住宅宿泊事業法では、宿泊する全員分の情報が必要となります。

ゆめゆめトラベルの契約事業者の多くが不在型民泊であるため、宿泊当日に対面での本人確認が難しい場合があります。その場合、事前にフォームやメールで情報を取得することを推奨しています。

民泊向けの宿泊者名簿のテンプレートを配布しています

住宅宿泊事業法に完全対応した宿泊者名簿テンプレートをご用意しました。このテンプレートは日本人・外国人の両方に対応しており、法的要件を全て満たしているので安心してお使いいただけます。

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皆さん皆さんが適切な民泊運営を行えるよう、ゆめゆめトラベルは常に最新の情報とサポートを提供します。どんな小さな疑問でも、お気軽にお問い合わせください。

—このコラムを書いた人—

ゆめゆめトラベル https://www.yumeyumetravel.com/

ゆめゆめトラベル代表の浅井

ゆめゆめトラベル 代表 浅井 夢
所在地:東京都三鷹市井の頭4-16-6-403

住宅宿泊管理業者
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登録年月日:令和6年2月15日